江崎べっ甲店(えざきべっこうてん)

江崎べっ甲店(えざきべっこうてん)は、長崎ではもちろん、日本でもっとも伝統あるべっ甲専門店の老舗です。

べっ甲細工はもともと中国の技術で、我が国では今から約1400年程前、隋より小野妹子が持ち帰った皇室への献上品の中にべっ甲を用いた美術品があり、奈良・正倉院の宝庫に、現存する最古のべっ甲として保存されています。

我が国におけるべっ甲制作の歴史は、300数十年です。 徳川幕府の鎖国政策によって、オランダ人と中国人による長崎一港での貿易となったため、べっ甲原料を容易に入手できた長崎で、べっ甲細工が発達しました。丸山花街の装髪具にも用いられ、京都・江戸へと流行していきました。

江崎べっ甲店は、初代江崎清蔵が宝永6年(1709)長崎に江崎家を興してから300年余り、世襲9代べっ甲業に従事し、べっ甲の歴史と共に歩み続けています。

5代目栄造は、明治5年(1872)から皇室の御用品を謹製し、明治33年(1900)宮内省御用達となりました。同年日本中から集めた特産品、美術品を持って日露貿易視察農商務省嘱託として渡露し、首都ペテルブルク(レニングラード)で最初の日本見本市を開きました。

6代目栄造は江崎家伝承のべっ甲技術を永久保存するため、べっ甲業界でただ一人「無形文化財」の指定を受けました。海外でも評価が高く、大正4年(1915)のサンフランシスコ万国博では、グランプリ(最高賞)を受賞。続いてパリ万国博でもグランプリ(最高賞)を受けています。

昭和16年(1941)より、江崎淑夫が現当主として技術の伝承と発展を担っています。