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刀匠 河内國平 Vol.1 名刀に賭ける人生

河内國平
Kunihira Kawachi
 

1941年大阪生まれ。第14代刀匠河内守國助次男。1966年関西大学法学部卒業。奈良県指定無形文化財保持者。2014年、現代では不可能とされた平安時代末期~室町時代の古刀が持つ地斑「映り」の再現に成功し、刀剣界最高の「正宗賞」を受賞。専門家は「驚くべき成果。不可能とされた現代の材料で再現する技術を持つ唯一の刀匠だ」としている。 主な受賞歴、正宗賞、高松宮賞、文化庁長官賞、毎日新聞社賞、日本美術刀剣保存協会会長賞、全日本刀匠会会長賞、薫山賞、寒山賞他。

千日の勤行よりも一日の名匠

美しい清流と深い山々に囲まれた奈良県東吉野村。

美しい清流と深い山々に囲まれた奈良県東吉野村。若雄のニホンオオカミが日本で最後に捕獲された場所としても有名なこの地に、河内がやってきたのは1972年のことだ。安土桃山時代から始まった刀鍛冶の家系に生まれた河内は、もともと家業を継ぐ気はなかったという。終戦後、武器製造禁止令が出たために父は家業を失い、財産を売りながらの貧しい暮らしを余儀なくされた。「もう刀の時代は来ない」鍛冶職人の父もまた、息子が一流の会社に入ることを望んだ。

ところが関西大学法学部に入学した河内は、4年生の夏、ある一冊の本に出合う。人間国宝 宮入昭平著の「刀匠一代」。その本の最後にこう結んであった。「私は愛刀家や研究家が出ることは、結構と思っています。が、せめて一人でもよい。将来を託せるような刀鍛冶が生まれてくれないかと、そればっかり、切に願ってやみません」。河内は不思議な感覚に襲われたという。14代続いた家系の血がそうさせたのか、本を読み終えたその日から、宮入昭平を人生の親方と決めた。

職人仕事はすべて右利きを基準に考えられているため、道具もすべて右利き仕様だ。

「嬉しかったのは、親方にお会いしたら、本当に本に書いてあったように、酒は飲まない、タバコは吸わない、賭け事はしないと、いわゆる世間の遊びをまるで何もしない人で僕と同じだった。刀を打つこと以外、一切ほかのことはされない。刀だけ、芸術だけの人でした」。長野県埴科郡坂城町に代々続く鍛冶屋の家に生まれ、鍛刀一筋に生きてきた宮入は、1963年50歳の時に重要無形文化財保持者(人間国宝)として認定されている。

1966年大学卒業とともに河内は正式に宮入昭平のもとへ弟子入りを果たすが、まず最初にやらなければならなかったことは左利きを右利きにすることだったという。職人仕事はすべて右利きを基準に考えられているため、道具もすべて右利き仕様だ。200以上の道具を自分の手のごとく使いこなさなければ、刀を作ることはできない。「何をやっても、もともと右利きの人みたいには上手くはいかない。便所に隠れて何度も涙を流した。誰でも最初は失敗しますが、左利きの僕は特に失敗が多かった。大きなコンプレックスでした」。

5年間の修行を経て、河内は1972年に独り立ちする。

5年間の修行を経て、河内は1972年に独り立ちする。東吉野村に鍛刀場を設立してからも、宮入はよく河内を訪ねてきてくれたという。「独立をした時、奈良の刀関係の知人のところへ挨拶に行きましたが、その時も親方はついて来てくださって、私のために挨拶をしてくださった。『地元へ返しやした。よろしゅうお願いしやす』と信州弁でね。一番不器用で下手な弟子が心配で、私のところへ何度も来てくださったのでしょう」。独立後、生活の厳しい河内を気遣ってか、宮入はティッシュに包んだ一万円札を「土産持ってこなかったからな」といつも置いてかえったという。

「僕は親方から無形の財産をいっぱいいただきました。色々なことを親方から教わったと思うと、もっと頑張らなければならないと思う。だから必死に仕事をしています。僕は本当に人に恵まれた」。1977年、宮入が突然この世を去った時、河内は宮入の右腕のお骨を探し、拾った。「もしこの人に会わなければ、ここまで刀に打ち込めなかったかもしれない」そう河内が語るように、宮入昭平という存在は今もなお河内に大きな影響を与え続けている。

邪道を打ち破り、すべてを注ぐ

「炎の向こうに宮入親方がでてくる」オレンジ色に染まる険しい表情に、河内の言葉を思い出した。

2017年初夏、河内の鍛刀場を訪ねた。外の光を閉ざすため、暗幕を張り完全に締め切られた室内は、その場にいるだけでも汗がしたたり落ちるほどの高温だ。パチパチと音を立て燃える炎、その横で黙々と炭を切る弟子。静かに炎を見つめる河内から溢れ出す気迫と、息をすることさえも憚られるほどピンと張り詰めた鍛刀場の空気に、思わず背筋が伸びる。「炎の向こうに宮入親方がでてくる」オレンジ色に染まる険しい表情に、河内の言葉を思い出した。

「折れず、曲がらず、よく切れる」を追求し、極限まで鍛え上げられた凛とした姿に、千年を超える日本刀の歴史と、生きることのすべての力を注いだ刀鍛冶の姿が浮かび上がる。

日本刀は本来、人を斬るための武器であり、また、武士の持つ質素・礼儀・清廉・忍耐の精神を表す象徴の一つとして扱われてきた。「折れず、曲がらず、よく切れる」を追求し、極限まで鍛え上げられた凛とした姿に、千年を超える日本刀の歴史と、生きることのすべての力を注いだ刀鍛冶の姿が浮かび上がる。

上の作品は、親友である刀剣鑑定家の故杉浦良幸氏が研ぎ上がったこの太刀を見て、古刀再現完成と喜び「曙」と命名。愛刀の1振りに加えたという太刀である。

鍛刀場の壁に書かれた「破邪」という言葉。

鍛刀場の壁に書かれた「破邪」という言葉。刀に人生を賭け続けてきた河内の真っ直ぐな心とプライドを感じる。「職人の技を忘れたらあかん。失うたらあかん。心を支えとる。仕事を支えとる。これを忘れたら名品はでけへん。他人の心も打たへん」。

鍛え、練り、心を叩く

美しい地鉄を作るために行う鍛錬という工程では、打ち延ばし広げた地鉄の真ん中に、たがねを入れ二つ折りにして重ね、約1300度に加熱して鍛接していく。

美しい地鉄を作るために行う鍛錬という工程では、打ち延ばし広げた地鉄の真ん中に、たがねを入れ二つ折りにして重ね、約1300度に加熱して鍛接していく。これを数回繰り返すことにより、幾層にもなった強い地鉄が作られる。炎の中で咲く鉄の華が、パランパランと小さな音を立てながら少しずつ舞い上がってくる。鞴を押す音の中に、鉄の華が舞う音。五感を研ぎ澄まし、鉄の華がさらに美しく舞い始めるその瞬間をじっと待つ。

鞴を押すペースも上がってきたその瞬間、火床から鉄が取り出され、真赤に熱せられた鉄に弟子が向槌を振り下ろすと、凄まじい爆発音とともに火花が飛び散る。
掛け声をかけながら、すかさず小槌を振り下ろす河内。

鞴を押すペースも上がってきたその瞬間、火床から鉄が取り出され、真赤に熱せられた鉄に弟子が向槌を振り下ろすと、凄まじい爆発音とともに火花が飛び散る。掛け声をかけながら、すかさず小槌を振り下ろす河内。弟子と交互に鉄を叩きながら「真ん中を狙え」、「心(しん)を叩け」と繰り返す。この真ん中を叩くというのも、何年もの修行が必要だ。

弟子が打ち降ろす向槌を受け止める手に、ぐっと力が入る。

弟子が打ち降ろす向槌を受け止める手に、ぐっと力が入る。日本の風土の中で培われてきた師弟制度では、仕事だけではなく、仕事以外の人生の部分も親方から学んでいく。「機械のように仕事だけを覚えるなら三年もあればできる。でも人は仕事だけでは生きられない。機械と違うのは心があるということ。構えのしっかりしている人は心がしっかりしているということです」。河内はこれを、10年かけて弟子に教えるという。

松花

松花

価格 お問い合わせ下さい。
種別 太刀
銘 表 河内守藤原國助國平 刻印(無界)
銘 裏 平成山河春望月之
長さ 67.6cm
反り 2.0 cm

白鞘付き、中心(なかご)に注文主の記念銘を入れさせていただきます。

現代刀ご購入の流れ

①お問い合わせ

まずはお気軽にお問い合わせください。ご興味のある作家、ご希望の作品についてご連絡ください。サイト上に掲載されているもの以外にも様々な作品をご案内可能です。

②ご購入可能な作品のご案内

お問い合わせ内容をもとに、担当者よりご連絡させていただきます。細かいやりとりはお電話でもご対応させていただきます。

③お見積り・納期目安・購入規約書の確認

ご希望の作品のお見積り、納期目安、購入規約書をご連絡いたします。尚、納期につきましてはあくまでも目安となり、納品日を保証するものではございません。また送料に関しましては、全額負担になりますので、あらかじめご了承ください。

④ご注文の意思確認

お見積り、納期目安にご納得頂けましたら、購入規約書にサインをお願いいたします。

お問い合わせから意思確認までの流れ
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⑤決済についてご案内

購入規約書にサインをいただき、ご注文の意思確認が取れましたら、決済についてご案内いたします。費用は全額前金にてお願いさせていただいております。

⑥ご注文確定

ご入金が確認できましたら、正式にご注文確定として在庫を確保させていただきます。

⑦銃砲刀剣類登録証取得

刀の登録証の取得手続きを行います。登録証が発行されましたらお客様へ作品のお渡しが可能になります。尚、登録日は月に1回となる為、ご購入日によっては翌月の登録となる場合がございます。

⑧お引き渡し

美術品として郵送、直接お伺いして手渡しの両方に対応しております。事前にご希望をお知らせください。送料や移動費等はお客様負担でお願いさせていただいております。

お支払いからお引渡しまでの流れ
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よくあるご質問

お問い合わせについて

お問い合わせへのご返信
お問い合わせへのご返信は、通常2日~3日以内にお送りいたします。2日~3日経っても返信メールが届かない場合は、何らかの問題が発生している可能性が考えられますので、お手数ですが再度お問い合わせフォームよりご連絡ください。尚、土日祝日や年末年始などはご返信までにお時間をいただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
お問い合わせの対応言語
お問い合わせの対応言語は日本語、英語のみとなります。
お電話でのお問い合わせ
お電話でのお問い合わせも受け付けておりますが、まずはお問い合わせフォームよりご連絡ください。

作品のご購入について

ご注文確定までの流れ
まずはお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。ご不明な点はこの段階でご質問いただき、担当者より在庫状況を含めて回答させていただきます。ご注文の意思確認が取れましたら、決済についてご案内いたします。費用は全額前金にてお願いさせていただいております。お客様からのご入金が確認できましたら、正式にご注文確定とさせていただきます。
作品のお引き渡し方法
美術品として郵送、直接お伺いして手渡しの両方に対応しております。事前にご希望をお知らせください。尚、送料や直接お伺いする際の交通費、宿泊費等はお客様負担でお願いさせていただいております。あらかじめご了承ください。
現代刀の所有手続き・登録証の発行
「銃砲刀剣類登録証」のない刀剣は法律上所有することができません。当方で発行手続きを行い「銃砲刀剣類登録証」が付属した状態で納品させていただきます。尚、納品後はお客様ご自身の名義に変更していただく必要がございます。納品時にお渡しする登録名義変更の書類に必要事項をご記入の上、お住まいの都道府県の教育委員会へ送付をお願いいたします。
作品のご見学
ご注文確定前に、実際に作品をご覧いただくことは可能です。ただし、時期によってはお受けできない場合もございますので、まずはやり取りをさせていただいている担当者にご相談ください。
作品の保証
ご注文確定以降に当方の都合により製作不可能となった場合、全額返金いたします。
ご注文後のキャンセル・仕様変更
ご注文確定後のキャンセルや仕様変更はお受けする事ができません。あらかじめご了承ください。
納品後のメンテナンス依頼
お問い合わせフォームより一度ご連絡ください。研ぎなどが必要な場合は別途費用が発生いたします。
作品の梱包
保存用の白鞘で作品を保護し、段ボールの外箱に入れ納品いたします。尚、桐箱や手入れ道具をご希望の場合は別途費用が発生いたします。

作品についての注意事項

手工業作品の特性
本製品は、手工業作品であり、製作上、鞘や刀身に微細な傷、成形の歪み、微細な気泡による窪み等が発生している場合がございます。また、成形(形状)、刃文、質感、色合い等がお客様のイメージ通りであるお約束はできません。あらかじめご了承ください。

国外対応について

国外からのご注文
国外からのご注文も受け付けております。お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。尚、対応言語は日本語、英語のみとさせていただいております。あらかじめご了承ください。
輸出入手続き
作品の輸出手続きは当方にて行わせていただきますが、輸入手続きにつきましてはお客様ご自身にて行っていただきますようお願いいたします。尚、双方が正常に手続きを完了していても、何らかの理由により税関で作品の受け入れを拒否されてしまう場合がございます。その場合に生じた損害に関しては、当方は一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。
お引き渡し方法
美術品として郵送、直接お伺いして手渡しの両方に対応しております。事前にご希望をお知らせください。尚、送料や直接お伺いする際の交通費、宿泊費等はお客様負担でお願いさせていただいております。あらかじめご了承ください。